コロナ後の未来へ「令和の幸福論」(2021年10月10日)

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■「ステイ銭湯(ホーム)」 銭湯店長・相良政之(さがらまさゆき)さん(23)

◇23歳、銭湯店長のモーニングルーティン
最初に取材したのは、4畳ほどの部屋に暮らしている相良政之(さがらまさゆき)さん、23歳。
「承認欲求とかはもうないですね。もう満たされつくした感じがあります」

相良さんの肩書は「銭湯の店長」。しかも、銭湯の中に住んでいるのです。

東京浴場は、老舗の銭湯をリノベーションして、去年7月にオープン。
およそ7千冊の漫画が並ぶ巨大本棚が来る人を迎えます。

朝の8時過ぎ。
相良さんは、銭湯の脱衣所にある「1人用サウナ」の中に。

「めちゃめちゃいい。ぜんぜん幸福度が違いますね」

銭湯のお風呂に浸かるのが、モーニングルーティンです。

◇銭湯の大黒柱・・・お風呂も、食事も、寝るのも・・・ここは、相良さんの“マイホーム”
ある日の取材中・・・
浴場の奥で、営業をおびやかすトラブルが・・・

「あ~弱いな。」

原因が“配管の詰まり”だとわかると、相良さんは、すぐさま屋上へ・・・

「ピンチですね。営業が、明日が怖い。多分できないんで。あと1、2時間で判断しなきゃいけない」

“詰まり”を取り除くため、持ってきたのは、トイレにあった「コレ」・・・すると。

「あ!キタッ!直った!よかったー!営業できるー!」

お店の大黒柱として銭湯を支える相良さん。
設備の修理や整備はお手のものです。
そんな相良さんの、お昼ご飯は?

「これは、めっちゃ安くて、120円ぐらいです」

お風呂も、食事も、そして寝るのも銭湯で・・・。ここは、相良さんのマイホームなのです。

「根幹の部分みたいなところは、自分の欲しいもの、好きなもの、つくりたいもの、っていうのが強いです」

23歳の相良さん。そもそも、なぜ銭湯に、こんなにも夢中なのでしょうか?

◇エンジニアからの転職。東京「ひとりぼっち」から、銭湯で「家族」に出会った!

高校卒業後に、福島から上京した相良さん。当時は、ネットワークエンジニアとして働いていました。

ひとりパソコンと向き合う仕事中心の生活のなか、銭湯に出会い、その世界にのめり込みます。

「(銭湯は)なんかほんと特殊な空間だなあと思ってて、会話はないにしても、何となく近くに人がいて。っていうのは、なんか安心感というかコミュニケーションというか、そういうのはあるなって思いますね。ゆるーくて、すごく人の繋がりをふわっと感じるというか」

銭湯に転職してからは、仲間とも出会い、ここは、いつしか「家」のような空間に。

◇コロナは「我が家」の危機。ホームを守るため奮闘!

新型コロナウイルスの流行は、相良さんの「大切な我が家」を揺るがす一大事でした。
「緊急事態宣言出る度に客数バーンと落ちるので、それは本当に痛いですね。赤字になるので一気に・・・」

「我が家」を守るため、これまで、さまざまなアイデアを実現してきました。
毎朝欠かさない「1人用サウナ」も、コロナ禍の中で生まれたアイデアのひとつ。予約が相次いでいます。

「コロナがなかったらやらないことだと思ったので、うちにとっては良い障害だったのかなぐらいに思うようにしています」

◇「すーげぇー楽しみ!」コロナ後に思い描くこと

23歳の相良さんは、コロナ後の未来をどのように思い描いているのでしょうか?

「ほんとに普段おっきな社会のこと考えてなくて・・・。すーげぇー楽しみですけどね。1年苦しんできたのでコロナで。お店として、ほんとに心からお客さん呼べるじゃないですか・・・初めてなんすよね、多分。今の幸せは、なんだろう・・・ずっと何かに興味あり続けるってすごい幸せなことだなって思ってて・・・ここ数年はずっと銭湯に夢中なんですけど」

「我が家」のお風呂で、相良さんの夢はふくらみます。

「全部の年齢の人たちを呼びたいっ・・・」

■ 「ザ・ムービング・フィンガーズ」ネイリスト・山本(やまもと)杏里(あんり)さん(27)

◇“全財産はバッグ3つ”。動き続けるネイリスト。

続いて取材したのは、大きなトランクを引いて、町を歩くこちらの女性・・・。
ネイリストの山本杏里(やまもとあんり)さん、27歳。
コロナ禍のなかで、ホテル暮らしを始めました。

「本日のホテルのお部屋です・・・」

お手頃なホステルや、こうしたホテルを転々と移動する暮らし。
ひと月あたりの費用は、およそ8万円です。

「悩んでるときは大体、動いてないので。私は悩みたくないから、“いったんやってみようスタンス”でやってる感じですね。」

手元に残した全財産は、バッグ3つだけに・・・。

「めちゃめちゃフットワーク軽くなりましたね」

◇「指先から見たコロナ」・・・20代をムダにしたくない

いま、山本さんが心がけているのは「とにかく動く」ことです。

来店客1「難しいね」
山本さん「難しいもうそこは」
来店客1「幸せとは」
山本さん「幸せとは・・・」

去年2月、写真スタジオの一角を借りて、ネイルサロンを開業した山本さん。
働き方が大きく変わる中、お客さんたちは「特別なもの」を求めて、このサロンにやってきます。

来店客1「キーボードで手を置いた瞬間に毎回ちょっとうれしいというか、テンションが上がる…。」

リモートワークの毎日でも、指先が整っていると、気持ちがアガるのだそうです。
ささやき声の会話の中に、20代の本音が、こぼれてきます。

山本さん 「なんかすごい、旅行行きたい…」
来店客2 「ね~、海外だよね」
山本さん 「次はねオーストリアに行きたいね」
山本さん 「…北欧も行きたいし」
来店客3 「北欧行きたいな~」
山本さん 「キリないわ」
来店客3 「ほんとそれ…」

山本さんが思い描いていた20代後半は、自分磨きのために、とにかく世界をめぐること。

「今しか行けない所にどんどん行こうっていうので結構海外、次はどこ行こうね~みたいな話も、すごくしていたんですけど…20代を無駄遣いしてるんじゃないか、みたいな」
「前向きに動く」。ホテル暮らしは、山本さんの新しい生活様式だったのです。

「動き方の種類がちょっと今は変わってるけれども、動けないことはないかなっていうような状況かなって思っていて…」

◇「知らない場所で、知らない人と」…都内を旅する出張ネイル
山本さん。この日も、都内を移動。…いったい、どこへ。

「知らない場所で、知らない人と…」
「おはようございます…」

お客さんの自宅に出向く「出張ネイル」も、動きづらい生活の中で、特別な時間になったそうです。

「出張ネイルって、やっぱ新しい人に会ったり新しい場所に行ったり、新しいものっていうのは何かしらの学びが必ずあるので、それは若いうちに絶対やっておいて損ないのかなって思っていて…」

◇幸せは動いた先にある「何か」…だから動く。

「気持ちが上がるものだけが、残っていく時代っていうのがアフターコロナかなっていう風に思ってるんですよ、個人的には」

「今できることの中で動くっていうのをやっていると自分の中では心は安らぐんですよ。自分がやりたいことのために動いてるっていうこと自体が私は幸せと思っているので」

「目下の目標としては、47都道府県出張ネイルをやってみたいですね、東京から早く出たい…」

■「時代に流されない」ヤギ農家・堀(ほり)周(いたる)さん(31歳)

◇「コロナで、昔に戻った…」。ヤギ農家・堀さんの時代を見る眼

ネイリストの山本さんと同じ、東京都内に暮らす、堀さんの「時代を見る眼」は、ちょっと独特です。

「ある種、一部は昔の状況にもどった。物とか人の移動が今よりは活発化してなかったはずだから、ひとりひとりの行動範囲が狭かっただろうし…」

◇ 東京の山奥に“ポツンと一軒家”。ヤギと家族(双子含む)。
東京都あきる野市。山道を進むと…堀さんがいました。

堀周(ほり・いたる)さん31歳。去年2月、ここにヤギ牧場を開きました。
堀さんが暮らすのは、築100年以上という古民家、あたりは緑豊かな山に囲まれています。

「そのうち全部自給できたらなと思うんですけど。まあまだ始めたばっかなので…」

いっしょに暮らす家族は、15頭のヤギ。
さらに、妻の麻衣さんと、長男の架君。そして、1歳の双子。湊くんと仁哉くんです。

「…双子だけは想定外で…」

◇バブル後に育んだ「時代に振り回されない生き方」

大手企業を退職して、ヤギ農家へ転身。主に、ヤギのミルクを使ったチーズづくりで生計を立てています。

「もうちょっと楽して稼げる仕事はあると思いますけど、長い人生でみたときのお金とちょっと違うところの指標もあると思うので…」

「お金が全てではない」という堀さん。そもそも、なぜ、ヤギ農家を目指したでしょうか?

「“生きることに近い”、そういう仕事の方が絶対に最後は強いんだろうなと思って、そこで、農業だと…」

1989年生まれの堀さん。物心ついた頃、すでにバブルは崩壊。
幼い頃から、自立した生き方に憧れていたといいます。

大手建材メーカーに就職するも、3年で退職。酪農の研修を経て、去年2月に、ヤギとの暮らしを始めました。

「本当に、やったぶんだけ、かえってくるんで、すごくわかりやすいんで」

◇振り回されない堀さんが、振り回されるとき。それでも…

コロナ禍のなかにあっても、自立した生き方を目指す堀さん。

「絶対長く生きていれば、国際情勢も変わるし、経済状況も変わるしそんな波にも負けない仕事は何かなと」

時代に振り回されない生き方をするため、ヤギ農家として暮らし始めた堀さん。しかし、ときには…

(ベビーカーから子供の泣き声)「ギャーン、ギャーン」

「いろんなことが起きるんです…自分のペースでやりたいんですけど…」

この日は、双子が熱を出し、保育園をお休み。
体調はすぐに良くなったものの、チーズづくりを中断して、子どもの面倒を見ることに。

「…平穏はないですよ」

「困っていると思うんですよ、都内の人だと。遊ぶ場所もない。行けばなんか言われるみたいな。そういう意味で、(指をさすと、庭で遊んでいる子ども…)こんなだから」

◇関東で電気止まっても大丈夫な暮らし!?

コロナから、少し離れた生活の中で、堀さんが目指している「しあわせ」とは?

「どんな状況でもやっていけるような準備をして構えているつもりなんで…」

「たぶん、いま、関東圏で電気止まりましたってなったら、みんな大騒ぎだと思うんですよ。でも大丈夫、みたいな。そこに行きつきたいんですよ…、最後は…」

「家族がいて、自分のやりがいがあって、後はほんとそんな中で空がきれいだなとか、その状況のなかでいいことがあると、幸せだなって思うような気がしますけどね」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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Posted by chobi