石油備蓄放出決定も「焼け石に水」専門家が解説(2021年11月24日)

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日本は24日、高止まりする原油価格を解消するために、国家で備蓄している石油の一部を放出することを発表しました。

国の基地と、民間の石油会社から借り上げたタンク、合わせて20カ所に貯蔵されている国家備蓄。9月末の時点で145日分あります。第一次オイルショックをきっかけに、石油不足の事態に備えるため始まったのが石油備蓄です。これまでも、戦争や災害などで供給が滞ったときに、石油会社が持つ民間備蓄を放出したケースはありました。しかし、今回の狙いは、供給量を増やし、原油価格の高騰を食い止めることです。そのために国家備蓄が初めて放出されます。
岸田総理:「原油価格の安定、コロナからの経済回復を実現するうえで、大変重要な課題であると思う」

アメリカも、ガソリン価格が、今年初めの約1.4倍にまで上がっています。支持率低下に悩むバイデン政権は、ガソリン価格を抑え、失地回復を狙います。ところが、思惑通りには、まだいっていません。

ニューヨークの原油先物価格は、前の日より1ドル75セント上昇。東京の原油市場でも、一時、3000円以上値上がりし、1年7カ月ぶりの上げ幅となりました。というのも、実際に放出される量は、日米ともに数日分と決して多くありません。
政府関係者:「焼け石に水。恒久的な供給量が保証されているわけではないから。アメリカに付き合わされているので、しょうがない」
石油元売り関係者:「産油国が増産するのかしないのか。こちらの方が重要で、仮に産油国が反発して減産したら価格は上がる」

原油価格の先行きが見通せないなか、運輸業界に携わる人たちは頭を抱えています。

トラック17台を保有する埼玉県の運送会社では、新型コロナが落ち着き、荷物の量が戻ってきたところに原油高騰の直撃を受けています。ドライバーに燃費のかからない運転をお願いし、成績の良い人にはボーナスも出しています。簡単な整備やオイル交換は自社で済ませるなど、コスト削減を図っていますが、やはり燃料費が重荷です。
吉田運輸・吉田勝治社長:「備蓄してもを放出したからといって、我々に還元され、値段が下がるのか。どれくらいかにもよるけど、微々たるものじゃないかと」

今回の石油の備蓄放出は、アメリカを中心としたエネルギー大国で一致団結して、産油国に“プレッシャー”をかけて増産を働きかける狙いがあるということです。このプレッシャーにより、産油国が増産を決めた場合、供給不足が解消し、ガソリン価格などが落ち着く可能性もあります。ただ、産油国が反発して「石油を持っているなら増産してなくてもいい、逆に減産する」となると、さらに、価格の高騰に拍車がかかる可能性があります。

◆この狙いについて、元経産省官僚で、石油情勢に詳しい明星大学の細川昌彦教授に聞きました。
「日本の放出量が雀の涙程度でも、各国が協調して備蓄放出しているという“アナウンス効果”で市場が反応することを期待している。産油国がどう反応するかは、不透明だ」といいます。

(Q.今後の原油価格はどうなるのでしょうか)
細川教授によりますと、「今回の備蓄放出は、あくまで一時的でも足元の原油価格を下げることが目的。いま原油の生産量は実は緩やかには増えてきている。このままのペースだと、来年1月以降、ある程度、価格は落ち着くだろう」ということです。

この予測は、IEA=国際エネルギー機関も、先週、出しています。
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Posted by chobi